名城大学鉄道研究会

2日目(9月6日)

1:高松

時刻は朝9時。寝ぼけ眼でホテルを各自チェックアウトし、一行は再び瓦町駅に集合する。ここから次の見学地の高松運 転所まで琴電バスを利用する。駅前のターミナルでバスを待っていると次々と多方面からバスが入ってくる。車種は三菱のエアロ ミディが中心だった。待つこと十数分、ようやく目的のバスが入ってきた。停車時間が短いのでテキパキと乗車する。乗車して気 づいたのだが、このバスは何と床が木の板であった。でも外見はそれほど古い車体にも見えない。一体年式はいつなのかなどと考 えに耽っていると、バスの右手に高松運転所の広大な敷地が見えてくる。「郷東橋」停で下車して川沿いに歩くと、すぐに運転所 の事務所が見えてきた。

2:四国最大の運転所

まず、運転所の職員さんに挨拶し中へ案内してもらった。会議室でこの運転所の紹介と予讃線の前面展望のビデオを見 た後、いよいよ車両の見学へ移る。外に出ると雨が降り出していた。やはり近頃の合宿には悪天候のジンクスがあるようだ。
この運転所はとにかく広い。それもそのはずで、ここは所属車両がJR四国一、最大規模の運転所なのだ。そのため、見学も二班に 分かれておこなう。とはいっても見学箇所の順番が違うだけで二班とも見学内容は同じだが。見学した時間が通勤ラッシュの一段 落した頃だったので、車両の入れ替えが激しい。特急「うずしお」用のキハ185系や、近郊型の121系などが忙しなく出入りしてい る。無数にある留置線にはマリンライナー用の5000系や、特急「南風」などで使われる2000系など、四国を代表する車両は一通り 揃っていた。また、トロッコ列車で運用されるキハ185系とキクハ32形のコンビや、角型の前照灯が印象的な113系リニューアル車 、そして「サンライズ瀬戸」で使われる285系の姿もあった。

それらを見て回り、次は車輪研磨機のある建物へと案内される。ここでは瀬戸大橋を通過する車両を対象に定期的に車 輪を削っている。ここで車輪を削るのは主に瀬戸大橋を渡る時の騒音軽減のためで、車輪に傷が無い場合でも45日に一度は必ず車 輪を削るというのだから大変な話である。ちなみに同じような研磨機は他に松山と高知の運転所にもある。また、ここでは電気連 結器の中身を初めて見せてもらうことが出来た。今まであのカバーの中のコネクターがどのような形になっているのか気になって いたが、何となくPCのディスプレイコネクタのピンを増やしたもののようにも見える。

最後の記念撮影はマリンライナーの前であった。雨が小降りになってきた時を見計らってシャッターを切る。

3:ハプニング

さて、ここでちょっとしたトラブルがあった。本来見学終了後、乗る予定だったJR高松駅行きのバスに乗り遅れてしまったの だ。次のバスが来るのは30分後。しかも雨は再び勢いを増してもはや豪雨と化している。一行は大雨の中バス停に取り残された。 しかし時刻表によると数分後に瓦町駅行きのバスが来る。このまま次のバスを待つか、瓦町行きのバスに乗り瓦町から琴電で高松 駅へ行くかで意見が分かれたが、結局これから乗る予讃線の発車時刻までに各自高松駅に集合ということで落ち着いた。

4:四国鉄道発祥の地、多度 津へ

バスには乗り遅れたものの、何とか全員高松駅に集まりとりあえず一安心。ここから快速「サンポート」で多度津へと 向かう。車両は121系の2連で、讃岐平野を快調に飛ばしていく。40分ほどで多度津に到着した。この駅は高知方面の土讃線が分岐 する拠点である。
この駅を含む丸亀〜琴平間が1889年開業でJR四国の路線では初めて開業した区間なので、この駅は四国鉄道発祥の地といわれ る。もっとも鉄道そのものでいうならば、翌日見学する伊予鉄道の方がこちらより半年ほど早く開業しているのだが。
多度津から次の見学地の多度津工場まで少し歩く。余所者らしく近所の飼い犬に吼えられたりしながら10分ほどで到着した。

5:JR四国唯一の車両工場


この多度津工場もかなりの規模を持つ。午前中に見学した「運転所」で出来る検査は仕業、交番検査くらいで、それ以 外の車体の分解を伴う検査ができる施設はJR四国ではこの多度津だけなのだ。この工場一つでJR四国のほぼ全ての車両の重検査を 行っている訳である。正門から入った一行はまずPR館という建物に案内される。外部の人の見学用の施設のようで、HOゲージの模 型や古い乗車券、ヘッドマークなどが展示されている。建物もこの工場の開設当初から建つ歴史あるものである。ここで職員の方 と挨拶し、工場の概要について説明を受けたあと、いよいよ工場の見学へ移る。

職員の方の案内で最初にやってきたのが、車両の部品を保管しておく倉庫だった。背の高い棚が通路の両側に並び、そ こに無数の部品が並んでいる。ほとんどは箱に梱包されていて何の部品だか分からなかったが、中にはエアタンクのようにすぐそ れと判るものもあった。

倉庫から出るとそこには整備中のDF50の1号機があった。DF50は電気式のディーゼル機関車で、ディーゼル発電機で起こ した電気で車輪のモーターを回して走るしくみ。今回の整備は展示の為で、車籍はあるものの老朽化が激しく、再び走ることは無 いようだ。DF50の前にある建物内では、2000系が「アンパンマン列車」に改装されていた。JR四国は高知県がアンパンマンの作者 の出身地にちなんで、車体にアンパンマンをラッピングした列車を走らせ人気を集めている。2000系の隣にあるトロッコ車両キク ハ32形も同様にこれからアンパンマンのラッピングが施されるという。このほか近郊型の7000系や特急車8000系がリニューアル工 事のために入線していた。
次に整備中の振り子機能付き台車を見せてもらった。振り子があると、曲線通過時に車体を自動的に曲線の内側に傾けて遠心 力を軽減する。そのため乗り心地の改善やカーブでのスピードアップができる。ここでは振り子が実際に振れる様子を見せてもら った。

エンジンの整備場では、エンジンの形式名がどのような意味を持つのかを知った。国鉄時代のものとJRになってから開 発されたものでは形式名の付け方が異なっている。

外には新幹線0系のカットモデルが展示されていた。中にも入れるので多くの人が運転台へ向かい、ただでさえ狭い運転 台は混雑気味。初代の車両だけあって、目盛り式の速度計や沢山のスイッチ類が何ともレトロチックである。

最後は先程のアンパンマン列車の前で記念撮影した。

6:宴


多度津から土讃線で琴平駅に降り立った一行を旅館の送迎バスが出迎えてくれた。駅から旅館までは歩いて10分も掛からないが、 荷物の多い一行にとってはとてもありがたい。駅を出発し琴電の琴平駅の前を通り過ぎると、数分もしないうちにバスは旅館の大 きな建物の下に横付けされた。チェックインの後、部屋は5人部屋なのでくじで部屋割りを決める。部屋に荷物を置いたらすぐに 宴会場で夕食だ。料理は御膳だが、「地元」らしく当然讃岐うどんも付いてきた。おかずはどれも普段はあまり口にできないもの ばかりなので箸が進む。しかもこの手の料理の割にはボリュームがあり、筆者でさえお替り無しで満腹になってしまった。腹ごし らえの後はお待ちかね?の駅名しりとり大会である。前回の山陰合宿で好評だったため、今回、第2回目の開催の流れとなった。 今回の集合場所となった「高松」からスタートして、以降時計回り順に駅名を言っていく。2周目に入るところで数名リタイアが 出始めた。前回は真っ先にリタイアしてしまい今回リベンジを目論んでいた筆者も結局4番目に沈んだ。筆者が脱落した後は脱落 なしで進み、数週回ったところで宴会場の使用期限である21時を迎えてしまう。しかし、景品も掛かっているだけにこのままドロ ーゲームなど考えられない。すぐさま部屋へ移動して延長戦に突入した。しばらくはそのまま接戦が続いたものの、一人脱落が出 るとそれを皮切りに次々とリタイアが続出。結果、この戦いを制したのは一人の1年生であった。チャンピオンには副部長特製の ユリカが送られた。おめでとうございます。

この後は各自入浴・就寝となる。ゲームコーナーには電車でGO!高速編の筐体が置いてあり、数人が挑戦したが、久しぶ りのプレイということで戦績はいま一つだった様子。筆者はチェックインのときに貰ったビール券を消費してから寝床に着いた。

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